現役介護職員(介護福祉士)による、介護職員のためのホームページ。
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 実録!特別養護老人ホーム
  特別養護老人ホームに勤め始めて8年目。
  社会的にも問題になっている介護職員不足
  うちの施設でも人員不足が慢性化しております。でも問題はそれだけじゃない。
  そんな老人ホームの実態を自分の経験を通して、コラム形式で語らせていただきます。
  ※サイト版では加筆修正を加えている場合があります、ご了承ください。
  
 

NO.23   食事介助って切ない               5月 12日 配信

    特別養護老人ホームに入所しているお年寄りにとって、「食事」をすること
    は1日の中でも大きな楽しみのひとつであると思います。
    ですが、必ずしも皆が皆そうであるわけではなく、楽しみどころかその逆の方もいます。

    うちの施設では、毎朝決まった時間に明かりが点き、決まった時間に利用者を
    食堂へ連れて行き、決まった時間に食事を配膳し、基本的には(自分で帰れる人以外は)、
    食事を食べ終えるまで、もしくはある程度の時間が経過するまで自分の部屋へは戻れません。

    ある程度自分の言いたいことが言える人、食事を自分で食べられる人はまだいいのですが、
    そうではない人の場合、こちらからの援助・介助がどうしても必要になってきます。

    そして、その食事援助・介助に、とても切なさを感じるときがあります。

    どういうことかというと、自分で言いたいことが言えない分、食事を食べたくなくても
    食事を食べさせられてしまいます。なかなか食事の進まない(遅い)人に対しても、
    僕たち介護職員はあの手この手で食事を食べてもらおうとします。
    
    普通の食事が食べられなければ、流動食といって、ゼリーやプリンのような
    嚥下しやすくて高カロリーのものを食べさせられます。

    あ、余談ですが、うちの施設では径菅栄養(いわゆる胃漏)の人が一人もいません。
    あくまで口から食事を食べることを目的としているからです。
    もちろん経口摂取の良さは他にもありますが。
    径菅栄養になったらうちの施設にはいられません。

    確かに、食事を食べないと死んでしまいますので、やっはりなんとか食べて
    もらわなければいけないのですが、それにしてもそこまでしなきゃダメ?
    って思うときがあります。

    朝の7時に起こされて、まだ目むけ眼の7時半から朝ご飯なんて全部食べられますか?

    僕には無理です。朝はパン1枚2枚食べるのが精一杯です。
    
    お茶と牛乳と味噌汁を一度に出されて全部飲めますか?

    僕には無理です。どれかひとつは残します。

    でも、一日のトータルのカロリーからしてみればこれらは摂らなければいけ
    ないことになっているのです。

    例えば、食事でお茶を飲まずに残してしまった場合、それが申し送りで報告され、
    「〇〇さん、水分摂取量が少ないので午後のお茶のときに多めにお願いします」となってしまいます。

    僕たちはいまこういうことを当たり前のように行っていますが、これって普通じゃないですよね。

    僕たちは食事を1食くらい抜くときだってあるし、水分を摂らずにご飯を食べるときだって
    あります。体の具合が悪くても悪くなくても、部屋から1歩も出ないときだってありますよ。

    でも施設では、こういう普通のことが普通じゃないんです。

    ふと冷静になって考えれば今僕たちが施設で行っていることこそが普通じゃないんだって
    いうことがわかるのですが、忙しい業務の中で「早く終わらせなきゃ早く終わらせなきゃ」
    という気持ちばかりが先行してしまうとこういう事態に陥ってしまいます。

    僕も気をつけないといけないなと思います。


    おしまい。


  

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